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生物物理計算化学者の雛

主に科学に関する諸々を書き留めています。

絶対温度0度以下の温度って?

Natureに絶対温度0度以下の温度を実現したという記事があり、話題になっているので少し解説をします。

絶対零度より低い温度がある (togetter)
絶対零度以下の作成に成功(Nature記事の和訳)
Natureの記事(英語)
Scienceの論文(英語)
1/7 12:12追記マックス・プランク研究所ら、絶対零度より低温の気体を実証。熱効率100%超の内燃機関が実現可能に? « SJNニュース 再生可能エネルギー最新情報

温度とエネルギー分布

温度とはざっくりと言ってしまえば、個々の原子の運動がどの程度激しいのかを表す指標です。

ある温度Tにおいてどれだけのエネルギーを持つ原子がどのように分布しているのかはボルツマン因子によって計算可能です。

下図のように、温度Tが低ければ低いほど、低いエネルギー状態にある原子の確率が高くなります。

温度を上げていくと、エネルギーが高い状態の確率が上昇し、無限に高い温度であれば全てのエネルギー状態の出現比率は等しくなります。
実際に下図でT=100の高温時には、分布はほぼ一定値になっています。

正の温度範囲の重要なこととして、エネルギーが高ければ高いほど、その頻度はどんどん小さくなっていく、という点があります。

マイナス温度時のエネルギー分布

それではボルツマン因子にマイナス温度 T=-1 を代入してエネルギー分布を描いてみましょう。

見てわかるように、温度T=1の時の分布と対称的な分布となりました。

低いエネルギーの比率が小さく、逆に高いエネルギーの比率が大きくなっています。

このように高いエネルギー状態になるに従って、頻度が上昇するような状態を生成することができれば、それは「負の温度」を持つと言えるわけです。

参考:反転分布(wikipedia)

追加の解説を書きました
(2013/1/8) マイナス絶対温度を実現した元論文のアブストラクト抄訳&解説
(2013/1/9)負の温度(反転分布)を利用したレーザー発振の原理

熱とはなんだろう―温度・エントロピー・ブラックホール… (ブルーバックス)

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温度から見た宇宙・物質・生命―ビッグバンから絶対零度の世界まで (ブルーバックス)

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