生物物理計算化学者の雛

主に科学に関する諸々を書き留めています。

VAIO Pro 11 の消費電力を実測し、バッテリー駆動時間を見積もった

前回記事(VAIO Pro 11 到着!スピーカとSSD残り容量をチェック&感想)に続き、今回はVAIO Pro 11 の消費電力を測定を行いました。(6/30 バッテリー駆動時間実測結果を追加

消費電力の測定にはワットチェッカーを利用し、

サンワサプライ ワットチェッカーplus TAP-TST7

サンワサプライ ワットチェッカーplus TAP-TST7

バッテリー充電100%の状態でノートPCにACアダプタを接続し、ACアダプタの消費電力を測定しました。

ニコニコ動画[ぬるぬるニコベンチLv3]翠の海 -midori no umi- 1920×1080 120fps を Full-HD ディスプレイで全画面表示することでCPU負荷をかけた結果を下表にまとめました。

機種 CPU コア数 TDP(W) CPU世代 GPU 負荷0%時消費電力 動画再生時CPU負荷 最大消費電力
VAIO Pro 11 Core i5 4200U 2C-4T 15 Haswell CPU内臓 HD graphics 4400 8 W 60-95% 20-27 W
ユニットコム製15.6インチPC Core i7 3610QM 4C-8T 45 W Ivy Bridge NVIDIA GeForce 650M 70 W 60% 120 W
VAIO Z (Z11) Core i5 520M 2C-4T 35 W Nehalem GeForce GT 330M 20 W 95% 60 W


なお VAIO Pro 11 では再生の最初の30秒程度は CPU負荷 95%、消費電力 27 W の状態を保つのですが、その後 CPU負荷 60%、消費電力 20 W の状態になってしまいます。


CPU温度が上がりきるまではターボブーストによりCPU周波数を上げ(Core i5-4200U で上限2.6GHz)、CPU温度がある値を超えたら定格周波数(1.6 GHz)に落とす
という動作になっているように思われます。

極めて省電力性が高いVAIO Pro 11

実測して改めて実感しましたが、Haswell世代のCPUを搭載したVAIO Pro 11 の消費電力(アイドル時 8 W、負荷時最大 27 W)は素晴らしいです。

今まで使っていたモバイルノート VAIO Z のアイドル時消費電力とVAIO Pro 11 の負荷時の消費電力は同じ 20 W 程度であり、VAIO Z負荷時最大消費電力 60 W は VAIO Pro 11 の負荷時の3倍程度となっています。

VAIO Z のバッテリー駆動時間を実測した消費電力とバッテリー容量から計算

VAIO Z のバッテリーを取り外して内側を見ると 10.8V / 5200 mAh / 57 Wh という表記があります。この数値からバッテリー稼働時間を計算すると

  • 負荷0%時の 20 W であれば 57 Wh / 20 W = 2.85 時間
  • 負荷をかけて 60 W であれば 57 Wh / 60 W = 0.95 時間

となり、バッテリーで負荷のかかる仕事をすると1時間程度でバッテリーを使い果たしてしまうという経験則とつじつまの合う結果になりました。

VAIO pro 11 のバッテリー駆動時間を実測した消費電力とバッテリー容量から計算

VAIO Pro 11 についてもバッテリー駆動時間を見積もろうと考えたのですが、Pro 11 ではバッテリーを本体から取り外すことができず、見える部分には 10.5V という表記しかありません。

そこでバッテリー容量の情報がないか調べたところ、シートバッテリー容量が約 4690 mAh であり、シートバッテリーにより稼働時間が2倍になるという情報がみつかり、VAIO Pro 11 の本体内蔵バッテリー容量は4690 mAh 程度だろうと推測しました。

そして mAh と Wh の比率は VAIO Z のバッテリーと同程度だと推定し、50 Wh という容量を仮定します

この容量に対し、CPU負荷0%で消費 8 W およびCPU負荷をかけて消費 20 W の消費電力でのバッテリーが持つ時間を計算すると
負荷0%時の 8 W であれば 50 Wh / 8 W = 6.25 時間
負荷をかけて 20 W であれば 50 Wh / 20 W = 2.5 時間

おそらくこの程度のバッテリー駆動時間になると思います。(公称 10-11 時間というのはどういう状況で成立するのだろう・・・? ←実測したところ、負荷をかけなければ10時間くらい持つことを確認しました

(6/24追記)VAIO Pro 11 内部写真(http://pc.watch.impress.co.jp/img/pcw/docs/602/716/html/19.jpg.html)からバッテリー容量が 31 Wh と判明しました。
この容量で計算すると
負荷0%時の 8 W であれば 31 Wh / 8 W = 3.88 時間
負荷をかけて 20 W であれば 31 Wh / 20 W = 1.55 時間

今後実際にバッテリー駆動をさせて実際の駆動時間がどうなるかチェックしていきたいと思います。

バッテリー駆動時間を実測

6/30追加)バッテリー充電80%(いたわり充電ON)から3時間 or 1時間バッテリー駆動させてバッテリー使用率を実測して駆動時間を計算しました。(非操作時のディスプレイの電源OFF、スリープ状態に移行 は両者ともOFFに設定)

計測条件 バッテリー消費実測結果 100%→0%の推測値(バッテリー駆動時間)
省電力モード、負荷無しで放置 3時間で 80%→48% (32%消費) 9.4時間
省電力モード、ニコニコ動作を再生させつつネットサーフィン 1時間で 80%→53%(27%消費) 3.7時間
バランスモード、ニコニコ動作を再生させつつネットサーフィン 1時間で 80%→48%(32%消費) 3.1時間

負荷をかけずに放置すれば、確かに公称10〜11時間に近いバッテリー駆動が可能なようです。
バッテリー容量 31 kWh から逆算すれば、アイドル時消費電力は 3 W 程度という計算になります。

ワットチェッカーで測定したアイドル時消費電力 8 W はACアダプタ経由の消費電力なので、実際はACアダプタの変換効率、Liイオンバッテリーの変換効率も考慮しなければなりません。
さらに、8 W を測定したときはACアダプタにワイヤレスルータを装着しており、ワイヤレスルータを外すと消費電力が 1 W 下がることが判明しました。
これらを考慮すればアイドル時のバッテリー消費電力 3 W というのは十分にあり得るレベルと言えそうです。

ちなみに省電力モードの間はタスクマネージャーで表示されるCPU周波数は 0.8 GHz 程度と低く抑えられており、ウェブブラウザのスクロール描画が遅延した感じになる等、マシンの応答が鈍くなっていました。
それに対しバランスモードの間はCPU周波数は 1.6 GHz 程度をキープし、遅延はさほど生じませんでした。