安倍首相は消費税 8%→10% の増税を1年半延期することを決断し、平成26年11月21日(金)の衆議院本会議にて解散されました。
議事経過 第187回国会(平成26年11月21日)
消費税を予定通り引き上げるべきとする財務省に代表される勢力に対抗するため、消費増税延期の信を問うための解散総選挙を決断したと私は理解しています。
消費税は安定した税収を確保できるため、財務省にとっては好都合だが・・・
財務省は消費税を引き上げる理由を以下のサイトで説明しています。
このサイトの図(下図)を見ると分かるように、消費税は景気の上下に左右されず、安定した税収をもたらしてくれます。
各税金ごとの税収の推移(財務省ウェブページより引用、加筆)
消費税を引き上げるべき第一の理由は、高齢化に伴う社会保障を広く薄く負担するためとなっています。
さらにもう1つの理由として景気動向に関わらず安定した税収が見込める点をメリットとしてあげています。
実際に一番最近のリーマンショックがあった2008年からの景気後退期にも、所得税、法人税が大きく下がっている一方、消費税収はほとんど一定でした。
この安定した税収は財務省が予算を組むにあたり、極めて便利であることは事実でしょう。
景気が悪くなって赤字になった企業、失業した人からもからも容赦なく取り立てられるのが消費税
景気が悪化する時期には、売り上げが落ちることで利益が減り、多くの企業が赤字転落し倒産します。
それに伴いリストラによる首切り、あるいは勤めていた会社の倒産による失業者も増加します。
その結果、黒字の会社から徴収する法人税、給与所得から徴収する所得税は減ることになります。
別の見方をすると、赤字になった企業は法人税を免除され、失業した人は所得税を免除されるとも言えます。
つまり、法人税および所得税に関しては景気悪化により苦境に陥った企業、個人に対して、国が間接的に補助を出すような一面があるわけです。
(経済を安定化させる負のフィードバック機構の一種ですね)
その一方、消費税ではこのような苦境に陥った企業、個人からも容赦なく徴収されます。
景気が悪くなっても安定した税収を確保できる分、国(財務省)は楽をできるわけですが、その負担は赤字企業、失業者にのしかかるわけです。
経済的苦境に陥った人は最悪の場合自殺に追い込まれるわけですので、そのような人々に対する支援を考慮することなく消費税を上げることは人を殺すことに繋がります。

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消費税は国家財政(財務省)の甘え
産経新聞の記事によると、財務省幹部がなかなかに辛らつなお言葉を発していたようです。
「社会保障費が膨れ上がる中、消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」
国民の生活、命を守るべき国家機関の中の人の言葉としてはなかなかになかなかです。
景気動向をにらみつつ、適切に収入、支出のバランスをとるべき国家財政の運営者をこれ以上消費税で甘やかす必要はないでしょう。
ちなみに個人的には財源としてはインフレ率がある程度上昇するまで、国債を発行し日銀に引き受けさせる財政ファイナンスをすればいいじゃないと考えています。
この件についてはいずれ機会があればそのときに。