11月以来、日本でのコロナ患者数が増加し続けており、医療現場への負担が相当大きなものになっています。
この原因は、GoToキャンペーンによる旅行・外食への補助にあるとして、GoToキャンペーンを早急に取りやめるべき、という意見が日に日に大きくなっています。
人の移動・会食を促進するGoToキャンペーンはコロナ患者数を増やす方向に作用することは確実と言えます。
しかしながら、日本よりも強力なコロナ対策を実施している韓国でも、日本とほぼ同じタイミングで患者数増大が始まっています。
日本・韓国の患者数の推移を下図に示します。
なお、韓国の患者数は緑色の線で、また日本の患者数と同じスケールに合わせるために韓国の患者数を4.236倍したものを青色の線で描画しています。

この図の患者数データは以下のサイトより取得しました。
www.worldometers.info
この日韓の比較から、少なくともGoToキャンペーンがコロナ患者急増の「主犯」ということはなさそうだ、と推定することができます。
(もし韓国でも日本のGoToキャンペーンと同様の取り組みを行っている、というのであれば話は別ですが)
では何が効いているのかというと、一番ありそうなのが冬の到来による気温の低下です。
以下に 日本の患者数ー東京の日次平均気温、韓国の患者数ーソウルの日次平均気温 をプロットしました。


日本・韓国とも気温の低下と連動して患者数が増える傾向を確認できます。
気温が低下すると換気がおろそかになって、三密条件が成立しやすくなっていると考えられます。
日本で夏場に患者数が増えたことも、同様に冷房を使うと換気がおろそかになるためだろう、と推定できます。
なお韓国でも夏場に患者が増えていましたが、これは新興宗教団体での大きなクラスターによるものだったと記憶していますので、気温が主因ではない可能性が高そうです。
www.jiji.com
当然のこととして、GoToキャンペーンがコロナ患者を増やす方向に寄与していることは確実ですので、停止を求める声が上がることは理解できます。
ですが、以上の考察から、GoToキャンペーンは「主犯」ではないので、仮に即時中止をしたとしても、患者数増加が一気に収まる、ということは期待できません。
三密を避ける、会食を避ける、マスクをつける、手を良く洗うという基本をきちんと実施することがコロナ患者抑制には重要です。