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生物物理計算化学者の雛

主に科学に関する諸々を書き留めています。

なぜTIP3Pモデルを使うのか

分子シミュレーション

以前に分子動力学シミュレーションの水モデルとしてTIP3Pモデルが最も良く使われていることを調べました。(分子動力学計算で使われる水モデルの構造と使用頻度
その時にも書きましたが、TIP3Pモデルには拡散係数が実験値より2倍以上大きいという欠点があります。

CHARMM力場はTIP3Pを前提にパラメータが決められている

この欠点にも関わらずTIP3Pがなぜ使われているのか、という質問が分子動力学プログラム CHARMM の Forum に載っていました。
http://www.charmm.org/ubbthreads/ubbthreads.php?ubb=showflat&Number=6805
この質問および回答の要点は以下の通りです。

  • Q. なぜCHARMMはTIP3P水モデルを使うのか? SPC/Eモデルの方が拡散係数が実験値に近い上、TIP3PはO-O動径分布関数の第二ピークを再現できない欠点があるのに??
  • A. CHARMM力場との相性がTIP3Pの方がSPC/Eモデルよりも良いから。これはCHARMM力場のパラメータ決定がTIP3P水溶媒を対象に行われたため。
    • もし他の水モデルを使いたければ、相互作用を正しく再現できているかチェックが必要。

AMBER力場もTIP3Pを前提

ちなみにAMBER力場もTIP3P水モデルを前提にパラメータが決められています。
例えばAMBER ff99SB パラメータの決定もTIP3P水モデルを使っています。