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生物物理計算化学者の雛

主に科学に関する諸々を書き留めています。

熱気球の浮力と耐熱温度

日常を化学する

エジプトでの熱気球の炎上墜落事故がありました。
熱気球はどの程度高い温度で使われているのか気になりましたので、熱気球の浮力と耐熱温度について調べてみました。

熱気球の浮力の計算


熱気球は空気を貯める「球皮」があり、そこに人が載る「バスケット(ゴンドラ)」がぶらさがっています。
標準的な熱気球のサイズは体積2000m^3で、およそ直径15mの球に相当します。
高さは20m程度で7階のマンションに相当するようです(参考:http://www.air-b.com/3.balloon/shiru/size.htm)。

バーナーによって球皮内の空気を加熱することで膨張させる(球皮内の空気の密度を減少させる)ことで浮力を発生させます。
例えば外気温10℃の時に球皮内温度を80℃まで上昇させると、密度は外気1.25kg/m^3、球皮内1.00kg/m^3となり、差の0.25kg/m^3が球皮1m^3あたりの浮力になります。

球皮の体積2000m^3と密度差0.25kg/m^3の積をとって
 0.25 kg/m^3 × 2000 m^3 = 500kg
がこの気球の浮力となります。
気球自体の重量(球皮、バスケット、バーナー、燃料込)が300kg程度ですので、人・荷物の搭載可能量は200kgとなります。

浮力は球皮内温度に依存して変化します。
上昇したいときには加熱をし、下降したいときには加熱をやめて球皮内温度が下がるのを待ちます。
高度によって空気の温度・密度は変化しますので、パイロットは適宜バーナー出力を調整する必要があります。

ヘリウム気球の場合

ちなみにヘリウム気球の場合、ヘリウムガスの密度は〜0.18kg/m^3ですので、球皮体積1m^3あたりの浮力は1kg/m^3を上回り、同じ体積の球皮であれば熱気球(80℃)の4倍以上の浮力をもつことになります。

なおヘリウム気球は下降するためにはガスを抜くしかありませんので、ヘリウムガスは使い捨てとなります。
バーナーが不要なので火災による墜落の危険性はないですが、ヘリウム不足の昨今は資源制約のために使いにくくなっているのではないでしょうか。

素材の耐熱性

一般的に球皮はナイロン66またはポリエステルが使われています。(下記の参考資料 第2章を参照)
どちらも融点は260℃ですが、軟化温度はそれより低いです。(ナイロン180℃、ポリエステル240℃
またバーナーに近い球皮下部はより耐熱性が高く消防服でも使われるアラミド繊維等が使われます。

バーナーの火力は強いため、操作を誤ると球皮が高温で溶けたり燃えたりする危険性があります。
それを防ぐために温度が高くなりすぎた時に焼き切れて操縦者に知らせる「温度ヒューズ」が組み込まれています。
下記の参考資料 第2章には真鍮でつくられた温度ヒューズの写真があり、約130℃で焼き切れるようになっています。