競馬・競輪・競艇といった公営ギャンブルでは、選択肢に対する予想が当たった時に購入金額の何倍が帰ってくるのかがオッズとして示されます。
海外では「ブックメーカー」と呼ばれるギャンブルを主催する会社があり、例えば先日ニュースになっていましたが「オリンピック競技として残る競技」がどれになるかを対象としたギャンブルが行われていました。
イギリスのブックメーカー「ウィリアム・ヒル」が2020年のオリンピックに追加される、残る競技のオッズを発表したそうです。それによると
レスリング 1.73倍
http://blogs.bizmakoto.jp/jpnms/entry/16242.html
スカッシュ 2.75倍
空手・武術太極拳・スポーツクライミング 12倍
野球ソフトボール 16倍
ウェークボード 25倍
ローラースポーツ 33倍
※このような海外で行われているギャンブルに日本国内から参加することはおそらく違法だと思われますので、実際に参加してはいけません
このような各選択肢に対するオッズのリストがあれば選択肢毎の当たる確率(当選率)を、さらにギャンブル主催者(胴元)が取り分を差し引いた後に顧客に変換する金額の比率(還元率)を見積もることができます。
以下では最も単純なオッズの計算方法を仮定した場合、還元率・当選率がどのように見積もられるのかを示します。
(実際はより複雑な計算式を使っている場合が多いですが、以下の手順によりおおよその見積もりを行うことは可能です)
((オッズの逆数の和)の逆数)を計算すると還元率になる
簡単な例として、2チーム「甲、乙」の勝負の結果(引き分け無し)に対するギャンブルを考え、胴元が集まった賭金の一部を取り分として回収し、残りを当選者で山分けするというケースを考えます
賭金を募ったところ、下表のような賭金になったとします。
チーム | 賭金 |
甲 | 40 円 |
乙 | 160 円 |
賭金計 | 200 円 |
まず胴元である自分の取り分として10%(=控除率)分の20円を差し引きます。
当選した顧客に返還する割合は残る90%(=還元率)分の180円となりますので、当選時のオッズは甲で180円/40円=4.5倍、乙で180円/160円=1.125倍となります。
チーム | 賭金 | オッズ |
甲 | 40 円 | 4.500倍 |
乙 | 160 円 | 1.125倍 |
賭金計 | 200 円 |
全ての選択肢に対して ((オッズの逆数)の和)の逆数 を計算します。
チーム | オッズ | オッズの逆数 | |
甲 | 4.500倍 | 0.22222 | |
乙 | 1.125倍 | 0.88888 | |
. | (オッズの逆数)の和→ | 1.11111 | |
. | ((オッズの逆数)の和)の逆数→ | 0.9 |
この計算によりオッズの数値のみから還元率 0.9 = 90% (つまり控除率は 1-還元率=10%)を得ることができます。
オッズの逆数は投票率に比例するので、オッズから投票率を知ることができる
オッズの逆数は投票率に比例しますので、オッズがあれば各選択肢に何%の資金が集まったのかを計算することができます。
具体的な計算式は
・各選択肢の投票率 = オッズの逆数 × (オッズの逆数)の和
となります。
実際に先ほどの例で計算してみると
チーム | オッズ | オッズの逆数 | オッズの逆数 × (オッズの逆数)の和 | 賭金 | |
甲 | 4.500倍 | 0.22222 | 0.22222/1.11111 = 0.2 = 20% | 40 円 | |
乙 | 1.125倍 | 0.88888 | 0.88888/1.11111 = 0.8 = 80% | 160 円 | |
. | (オッズの逆数)の和→ | 1.11111 |
となり、確かに賭金の比率20%、80%を得ることができます。
多くのギャンブルでは、得票率は実際にその選択肢が当たる確率と大きくは外れないとされていますので、投票率を計算することで実際にその選択肢が当たる確率を見積もることにもなります。
ちなみに競馬等の多くのギャンブルでは胴元の取り分(控除率)は20%程度であることが多く、その場合は「オッズの逆数の8掛け(0.8を掛ける)」によりオッズを投票率(当選率)に変換することができます。
例.オッズが10倍の選択肢の当選率はおおよそ 1/10 * 0.8 = 0.08 = 8%
オリンピック競技のオッズから、ブックメーカーの取り分(控除率)と、各選択肢の当たる確率を見積もる
それでは最初に述べたオリンピック競技の賭けから、ブックメーカーの取り分(控除率)と、各選択肢が当たる確率を見積もってみます。
競技 | オッズ | オッズの逆数 | 投票率≒当選率 | |
レスリング | 1.73倍 | 0.57804 | 49.9% | |
スカッシュ | 2.75倍 | 0.36364 | 31.4% | |
空手・武術太極拳・スポーツクライミング | 12倍 | 0.08333 | 7.2% | |
野球ソフトボール | 16倍 | 0.06250 | 5.4% | |
ウェークボード | 25倍 | 0.04000 | 3.5% | |
ローラースポーツ | 33倍 | 0.03030 | 2.6% | |
. | 和 | 1.15781 | ||
. | 和の逆数 | 0.86370 |
((オッズの逆数)の和)の逆数 から還元率86.37%が得られました。
また各選択肢についてもオッズの逆数を和で割ることにより、レスリング49.9%、スカッシュ31.4%といった具合に投票率(≒当選率)を見積もることができました。
このオッズからは、レスリングがオリンピック競技として残れる可能性は半々程度であると推測することができます。