研究を進める上で大量の論文・文献を管理する必要があります。
その際に便利なクラウド上のサービスであるMendeleyを紹介します。
クラウドサービスであり、ブラウザから Mendeleyのサイト にユーザ登録しアクセスすることで利用できます。
PC上のOS(Windows、Mac、Linux)およびiPhone, iPad の iOS 版のプログラムが用意されています。
登録した文献はPC, iPad, iPhone のどのデバイスでも同期されるので、PCで文献データベースを作り、出先でiPad, iPhone で読むことができ極めて便利です。
なお、Android版のMendeleyプログラムも第三者から公表されているようです(参考:Mendeley 公式ブログ記事)
PDFファイルをドラッグドロップするだけで登録してくれる文献管理ソフトウェアMendeley
以下Windows上のMendeleyプログラムで解説します。
Mendeleyは文献のPDFファイルをドラッグドロップするだけで新規文献を追加することができます。
Mendeley WindowsプログラムにPDFをドラッグドロップして登録
追加された文献の情報(論文タイトル、論文著者、掲載雑誌、掲載号数、ページ)は自動的に取得されます。
中には文献情報取得に失敗する論文もありますが、その場合は ArXiv ID, DOI, PMID のいずれかの文献IDを手入力し、ネット上から情報を取得することもできます。
雑誌毎のフォーマットに合わせて引用文献のテキスト表示を得る
投稿する雑誌毎に引用文献のフォーマットは異なっており、論文毎にフォーマットを直すのは文献数が多いと結構手間がかかります。
例えばNatureの引用スタイルは
1. Fukui, K., Yonezawa, T. & Shingu, H. A Molecular Orbital Theory of Reactivity in Aromatic Hydrocarbons. J. Chem. Phys. 20, 722 (1952).
であり、ACS (American Chemical Society)では
(1) Fukui, K.; Yonezawa, T.; Shingu, H. J. Chem. Phys. 1952, 20, 722.
のように異なっています。
Mendeley にはこのように雑誌毎に異なるフォーマットを自動的に作成してくれる機能があります。
まず「View-Citation Style-」から雑誌を選択します。
もしこの一覧の中に欲しい雑誌が無い場合は、「More Styles...」を選択して出てくるウィンドウで「Get More Styles」タブを選び、欲しい雑誌または出版社名を入力するとメジャーな雑誌であればその雑誌が出てきますので「Install」ボタンを押してフォーマットをインストールします。
そしフォーマット選択後に、文献上で右クリックをして「Copy Citation」を選択し MS Word に貼りつけるとその雑誌のフォーマット通りの文献情報が得られます。(ただし雑誌名は短縮名でないので、雑誌名だけは修正を忘れないようにしましょう)
自分はLaTeXを使ったことはないですが、右クリックメニューにはLaTeX形式もありますので、LaTeX形式も同様に得られるようです。
自分の文献データベースでの検索は文例調査に極めて有効
大量のPDFファイルをMendeleyデータベースに登録すると、Mendeleyの検索機能が極めて有用なものになっていきます。
自分のデータベースには自分の研究と直結する論文が登録されており、そこで専門用語で検索をかけるとその言葉が出現する論文を得ることができますし、英文中でのその言葉の使い方もすぐに確認することができます。
これは以前書いた記事(web検索を活用して適切な英語表現・英文を調べる)と同様に検索を英語論文執筆に役立てる一例となります。
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