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生物物理計算化学者の雛

主に科学に関する諸々を書き留めています。

ノーベル化学賞を共同受賞したWarshelとKarplusは複雑な人間関係?

昨日発表があった2013年のノーベル化学賞は、Martin Karplus, Michael Levitt, Arieh Warshel の3人がマルチスケールシミュレーションの業績で共同受賞しました。3人は分子動力学計算プログラムCHARMMの開発等で共同で研究していた時期があるため友好的な…

2013年ノーベル化学賞は多階層シミュレーション(QM/MM計算)の3人に

さきほど2013年ノーベル化学賞が発表され、 Martin Karplus, Michael Levitt, Arieh Warshel の3人が「for the development of multiscale models for complex chemical systems (複雑な化学系のマルチスケールモデルの開発に対して)」の仕事で受賞しました…

2013年ノーベル生理学・医学賞「小胞輸送」について3時間で勉強してまとめてみた

先ほど今年のノーベル生理学・医学賞が発表されました。http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2013/press.html受賞者は「小胞輸送」という現象の解明をしたアメリカの3教授(James E. Rothman, Randy W. Schekman and Thomas C. Sudh…

adhesionとcohesionの違い

論文を読んでいて「adhesion and cohesion」という表現に出くわしました。どちらの単語も辞書的には「結合、接着、粘着」といった意味であり、違いは何だろう?という疑問が湧いたので調べたところ、ズバリの回答が英語で http://wiki.answers.com/Q/What_is…

水の第4の相

ギズモードでやや釣りっぽいタイトルの記事 南極で未知の存在「第4の重い水」が発見される! がありました。 実際は南極大陸沿岸の3か所で生成される南極低層水に関して、これまで未知だった第4の生成ポイントが見つかったという内容でした。今回はこの記…

セシウムを固定する粘土バーミキュライトの構造

福島県が 「放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について~要因解析調査と試験栽培等の結果の取りまとめ~ (概要)」という資料 を公表したことを紹介する記事がありました。米の放射性セシウム数値が示す農家の努力、科学者の献身この記事中で…

なぜ凝固点降下・沸点上昇なのか

液体に不揮発性の溶質を溶かすと、凝固点は降下し、沸点は上昇します。 例えば水に塩を溶かすと、凝固点は±0℃から−0.2℃のように下がり、液相の状態をより低い温度でも保つようになります。今回はなぜ逆の「凝固点上昇・沸点降下」ではなく「凝固点降下・…

負の温度(反転分布)を利用したレーザー発振の原理

負の温度(過去記事 絶対温度0度以下の温度って?、マイナス絶対温度を実現した元論文のアブストラクト抄訳&解説)が話題になっていますので、実際に負の温度を利用しているレーザー発振の原理を解説します。 離散的な状態と、光子との相互作用 レーザー発…

マイナス絶対温度を実現した元論文のアブストラクト抄訳&解説

先日書いた簡単な解説(絶対温度0度以下の温度って?)が多くの方に読んでいただけていますので、追加の解説をしておきます。このような科学記事をきちんと理解したいならば、最も重要となるのは「元論文に当たる」ことです。 Scienceの論文(英語) という…

絶対温度0度以下の温度って?

Natureに絶対温度0度以下の温度を実現したという記事があり、話題になっているので少し解説をします。絶対零度より低い温度がある (togetter) 絶対零度以下の作成に成功(Nature記事の和訳) Natureの記事(英語) Scienceの論文(英語) 1/7 12:12追記マ…

わずかなアミノ酸残基の違いにより異なるフォールド構造になるタンパク質

岩波書店から出版された、分子レベル〜人体レベルまでの生命シミュレーション研究を概観した本を読み始めました。計算と生命 (岩波講座 計算科学 第4巻)作者: 柳田敏雄,木下賢吾,笠原浩太,木寺詔紀,林重彦,江口至洋,高木周出版社/メーカー: 岩波書店発売日: …

化学と工業2012年12月号の内容

目次は http://www.chemistry.or.jp/journals/kakou/cimok/ci12-12.pdf で見れます(PDFです)。 ペットケアの科学 p.927- ここ数年の犬・猫の飼育数は増えており、犬が1200万頭、猫が950万頭という数になっている。中高年の子育てを終えた世代がペットを飼…

諸熊奎治先生 文化功労者に選ばれる

本日、文化功労者に理論化学・計算化学分野における大家である諸熊奎治(もろくま けいじ)先生が選ばれたというニュースがありました。 ONIOM法の開発者 諸熊先生はGaussian等の分子軌道(MO)計算プログラムに実装されているONIOM法の開発者として…

DFT計算でB3LYPがどれだけ使われているかを調査

分子の構造やスペクトル等の性質を計算する分子軌道(MO)計算において、適度な計算量で電子相関を取り込めることから密度汎関数(DFT)法がよく使われます。新版 すぐできる 量子化学計算ビギナーズマニュアル (KS化学専門書)作者: 武次徹也,平尾公彦…

iPS細胞のノーベル賞に思う分子シミュレーションから見る細胞の巨大さ

山中伸弥教授が「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」により2012年度ノーベル医学生理学賞を受賞されました。 大変喜ばしいことです。 iPS細胞のもつ履歴 iPS細胞と関連する話として、先月開催された分子科学討論会の特別講演で発生生物学の大…

化学と工業2012年10月号の感想

日本化学会の月刊誌「化学と工業」の2012年10月号が届いたのでざっと読んで印象の残った部分の感想を書きます。 目次は http://www.chemistry.or.jp/journals/kakou/cimok/ci12-10.pdf で見れます(PDFです)。 p.753- 目をサポートする化学 メガネや…